2022年度照明学会東京支部 施設見学会報告
「 あたらしい照明施設をみる 」~国立競技場の照明~

 東京支部では毎年、照明で話題を集めている施設の見学会を企画開催している。今回の企画は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(2021年8月開催)のメイン会場として建替、整備された国立競技場です。高水準の設計要件を満たした照明設備をご体感いただきました。
 当日は講師の説明により、照明に関する施設の歴史及び最新のスタジアム照明について理解を深めることができました。以下にその実施概要を報告します。

【実施日】

2023年2月2日(木)

【参加者】

参加者  58名  支部スタッフ  13名 事務局1名  ロケハン2名   計  74名

【集合場所】

国立競技場Cゲートで受付し、記者会見室にて事前説明会を行った。

【講師】

国立競技場 事業課 渡部 雅隆 氏
パナソニック(株)EW社 栗本 雅之 氏

【実施内容】

1.開会~小山支部長の挨拶
 開催にあたり小山支部長より、多くの参加者への御礼に加え、本日の機会を提供して頂いた国立競技場渡部様他関係者の皆様及び解説者のパナソニック株式会社栗本様へ感謝の意を述べました。また参加者の皆さま方にとって有意義な体験となることを期待する旨をお伝えしました。司会担当は伊藤副支部長です。

2.解説・施設見学
 初めに記者会見室にて講師の皆様より施設や計画の概要を、写真や資料を活用しながら10分ずつ解説をしていただきました。
 渡部様からは「照明と芝生」というテーマでご自身のグランドキーパー時代のご体験を基にした実に興味深い話を頂きました。過去からの芝生の変遷や冬枯れする芝生に対する苦労話(トヨタカップで茶色の芝でプレーすることへの揶揄等)、過去の水銀灯による照明空間では緑の芝が映えなかったが、この新国立競技場ではLEDによって見事にその美しさが際立っているとのご説明がありました。栗本様からは実際納入されている照明機器の説明、国際テレビ放送に対する照度基準、それを実現する演色性の重要さ、プレーヤーや観客、カメラに対するグレアの抑制、スーパースロー撮影に対するフリッカー抑制等多くの技術的要素のご説明がありました。参加者には国立競技場の案内冊子が配布されました。
 その後2班に分かれ部屋を出て、あんどんホール→ピッチ内での見学→4階スタンド(記者席)での見学を交互に実施しました。照明は7パターン(陸上25/50/100点灯、サッカー25/50/100点灯、オリンピックモード)を順次体感。2面ある大型映像表示装置にはそのパターン名とスタジアム内固定カメラによる見学の様子を映し出し、またスタンド1周にわたるリボンボードではフルカラーによる演出が行われました。ピッチ内ではグレア感や明るさ(特にオリンピックモードでは水平面約4000lxの空間)が体感でき、4階では全体を見渡すことができたので均斉度の高い照明空間を確認することができました。2か所とも普段は入ることのできない場所なので、そこでの体感は非常に貴重なものとなりました。

3.閉会
 導線の関係もあり、見学後はそれぞれの班で順次解散となりましたが、ピッチ内にて集合写真を撮影しました。

4.備考
 今回の見学会では前回に引き続き動画映像の撮影も行いました。今後の会員サービスのありかたの試みとして、プロによる撮影および編集されたものを、照明学会のアーカイブとしても利用できるように、照明学会のサイトなどで学会公認のものとして配信していくことを目的としています。また参加者や見学会関係者の皆様には、事前に見学会風景の撮影とその配信なども行うことをご了解いただいております。

写真


記者会見室

小山支部長より開会挨拶

講師の渡部様

講師の栗本様

あんどんホール

スタジアムピッチ

リボンボード(国立競技場モード)

リボンボード(レインボーモード)

現在何モードを点灯中なのか大型映像にて会場内動画と音声でご案内


4階スタンド(記者専用シート)

4階スタンドと1階スタジアムピッチ

集合写真(1班)

集合写真(2班)

ご参加いただいた皆様をはじめ、国立競技場他関係者皆様のご協力で、充実した有意義な見学会となり、 当初の予定通り無事終了することができました。改めてお礼申し上げます。
以上